Function.prototype.caller
非標準: この機能は標準ではなく、標準化の予定もありません。公開されているウェブサイトには使用しないでください。ユーザーによっては使用できないことがあります。実装ごとに大きな差があることもあり、将来は振る舞いが変わるかもしれません。
非推奨;: この機能は非推奨になりました。まだ対応しているブラウザーがあるかもしれませんが、すでに関連するウェブ標準から削除されているか、削除の手続き中であるか、互換性のためだけに残されている可能性があります。使用を避け、できれば既存のコードは更新してください。このページの下部にある互換性一覧表を見て判断してください。この機能は突然動作しなくなる可能性があることに注意してください。
メモ:厳格モードでは、関数の caller
にアクセスするとエラーが発生します。 API は削除され、代替手段もありません。これは、コードが「スタックを歩く」ことを防ぐためです。これは、セキュリティリスクをもたらすだけでなく、インライン展開や末尾再帰呼び出し最適化などの最適化の可能性を大幅に制限します。より詳しい説明については、 arguments.callee
の非推奨化の根拠をご覧ください。
caller
は Function
インスタンスのアクセサープロパティで、この関数を呼び出した関数を返します。厳格モード、アロー関数、非同期関数、ジェネレーター関数では、 caller
プロパティにアクセスすると TypeError
が発生します。
解説
関数 f
が最上位のコードで呼び出された場合、 f.caller
の値は null
に、それ以外の場合の値は f
を呼び出した関数になります。 f
を呼び出した関数が厳格モードの関数である場合も、 f.caller
の値は null
となります。
ECMAScript 仕様で規定されている唯一の動作は、 Function.prototype
が初期 caller
アクセサーを持っており、 get
または set
のリクエストに対して無条件に TypeError
を発生させるすること(「毒薬アクセサー」として知られています)であり、実装は非厳密なプレーン関数を除いて、このセマンティクスを変更することは許可されていません。 caller
プロパティの実際の動作は、エラーを発生させる以外にも何らかの動作がある場合、実装によって定義されています。例えば、 Chrome は自分自身でデータプロパティとして定義していますが、 Firefox と Safari は初期の毒薬である Function.prototype.caller
アクセサーを拡張し、非厳格関数であるこれらの値を特別に処理しています。
(function f() { if (Object.hasOwn(f, "caller")) { console.log( "caller is an own property with descriptor", Object.getOwnPropertyDescriptor(f, "caller"), ); } else { console.log( "f doesn't have an own property named caller. Trying to get f.[[Prototype]].caller", ); console.log( Object.getOwnPropertyDescriptor( Object.getPrototypeOf(f), "caller", ).get.call(f), ); } })(); // In Chrome: // caller is an own property with descriptor {value: null, writable: false, enumerable: false, configurable: false} // In Firefox: // f doesn't have an own property named caller. Trying to get f.[[Prototype]].caller // null
このプロパティは、 arguments
オブジェクトの廃止された arguments.caller
プロパティを置き換えます。
呼び出し側のアクティベーションオブジェクトを返す特別なプロパティ __caller__
は、これによりスタックを再構築することが可能でしたが、セキュリティ上の理由により削除されました。
例
関数の呼び出し側プロパティの値を調べる
次のコードは、関数の caller
プロパティの値を調べます。
function myFunc() { if (myFunc.caller === null) { return "The function was called from the top!"; } else { return `This function's caller was ${myFunc.caller}`; } }
スタックの再構築と再帰
再帰呼び出しの場合、このプロパティを用いてコールスタックを再現することはできません。以下について考えてみましょう。
function f(n) { g(n - 1); } function g(n) { if (n > 0) { f(n); } else { stop(); } } f(2);
stop()
が呼び出された時点のコールスタックは以下のようになるでしょう。
f(2) -> g(1) -> f(1) -> g(0) -> stop()
以下は真になります。
stop.caller === g && f.caller === g && g.caller === f;
従って、stop()
関数のスタックトレースを以下のようにして取得するとします。
let f = stop; let stack = "Stack trace:"; while (f) { stack += `\n${f.name}`; f = f.caller; }
これは無限ループになります。
厳格モードの caller
呼び出し側が厳格モード関数である場合、caller
の値は null
です。
function callerFunc() { calleeFunc(); } function strictCallerFunc() { "use strict"; calleeFunc(); } function calleeFunc() { console.log(calleeFunc.caller); } (function () { callerFunc(); })(); // Logs [Function: callerFunc] (function () { strictCallerFunc(); })(); // Logs null
仕様書
いずれの標準でも定義されていません。